プロフェッショナル

先日の調査案件で出会ったタクシードライバーさんが素晴らしかったので、ブログに書きます。

調査開始場所は大阪市内のオフィスビルです。事前に勤務先の割り出しをしており、午後からの退勤後の行動を追うことになります。

午後6時からオフィスビルの出入り口が見える位置より、人混みにまぎれて張り込み開始です。

車両を配備して、車内から張り込むのがベストですが、対象者は基本的に徒歩移動であり、車両を駐車する場所が確保出来ない立地条件のため、歩行者を装った立ち張りとなりました。

私は10分前には到着し、現場の状況を確認します。相棒もすぐに合流し、張り位置につきましたが、お腹の調子が不調だったので、すぐに戻ることを相棒に伝え、近くのパチンコ屋へトイレを借りにダッシュで向かいました。

トイレで一息ついて、手を洗っているとインカムより、「対象者が出た!」との連絡が入りました。時計を見ると調査開始3分前、猛ダッシュで対象者の位置へ向かい、無事に補足することが出来ました。

相棒に申し訳無いと伝え、2名で尾行に入ります。「予想以上に早く出てきましたね」相槌をしながら、しっかりと連携を取りながら、尾行に集中します。

人混みの中をかき分け、追いますが一瞬でも目を離せば、何処に行ったかわからなくなります。

また、相棒が見ているからと過信することも良くありません。

2人共に車両や人混みによって対象者を見失うこともあります。

確認しているか、していないかはインカムで常に相互フォローが必須になります。

人の尾行なんて、子供でも出来ると勘違いしている方は一度、なんばか梅田の人混みの中で試してみてはいかがでしょうか?

いかに困難で知識、経験、技術が必要なのかが、理解できると思います。

動き回る対象者を気付かれずに、1時間以上追うことができる素人はいません。

困難な仕事であるからこそ、私達のような探偵というプロフェッショナルが存在し、調査にあたっているのです。

さて、対象者ですが、その後、御堂筋を北方向へ進み、地下街へ入り、大阪駅へ移動した後、改札を入りました。

浮気相手の情報はまったくないので、どこへ向かうかは検討もつきません。

対象者がJR神戸線のホームで電車に乗車し、辿りついたのは須磨駅でした。

北側のロータリーで対象者がスマートフォンを操作し、誰かを待っているようです。

私は対象者の背後から様子を窺います。相棒はすぐにタクシーを手配出来る位置でスタンバイします。

5分ほどすると対象者の前に車両がやってきました。運転席に女性を確認、撮影をしつつ、インカムで状況を相棒に伝えます。

慌てず冷静に車両が動き出した瞬間に相棒が手配したタクシーへダッシュで乗り込み、尾行を開始します!

タクシードライバーへ目的を伝え、尾行の方法、注意点を簡単にレクチャーすると、そのドライバーは快く引き受けてくれました。

驚いたのはそのドライバーさんの飲み込みの早さと抜群の距離感でした。

近過ぎず、信号のタイミングを見計らい詰めるところは詰め、言わなくても中1台の車両を対象者の車両の後ろへ入れる。経験者かと思うくらいの慣れた尾行です。

尾行は長距離になり、摩耶駅から大阪市内を通過し、京都市内に入りました。

夜間の下道を長距離ドライブです。その間に対象者の乗る車両は2回、コンビニへ入り、浮気相手の女性と対象者は仲良くコーヒーやスナック菓子を購入していました。

当然、その姿はビデオカメラでしっかりと撮影済みです。

動きが謎ですが、対象者達しか、その理由はわかりません。私達は追うのみです。

烏丸通りを北上し、車両がマクドナルドのドライブスルーへ入りました。目的地は近い…

予想通りドライブスルーを出た車両はそこから5分ほど走行し、コインパーキングに入りました。ドライバーさんに路肩で停車し、待ってもらうと、すぐに徒歩尾行に移ります。

対象者と女性は歩いてコンビニへ入店し、ドリンクを購入、退店後にビジネスホテルへチェックインしました。

全ての証拠を撮影し、タクシーに戻り、ドライバーさんに支払い(1万円越え 笑)を済ませお礼を言いました。

話しを聞いてみると同じように、以前にも尾行をしたことがあるそうでした。

ですが、信号の変わるタイミングや混んでいるルート、車線を熟知しており、先読みして車線変更するなど、流石、プロのタクシードライバーだと感じました。

このようなドライバーさんは稀で、滅多に遭遇することはありません。

たいていは面倒はゴメンだと言わんばかりの対応で、行けるタイミングの信号でも停まって、会社から信号無視は駄目と言われているとのこと…そう言われるとどうしようもないですね。

やっぱり責任感の強いプロ意識を持ったドライバーさんが最高・最強です。

またお目にかかりたいですね。

taxi