600km移動!17時間の調査の行方は part3

さて、対象者達がラブホテルに入ってから、数時間が経過しました。
当日は天気が変わりやすく、小雨が降ったり止んだりしていました。

車両で張り込みする調査員は雨に濡れる心配はありませんが、立ち張りをする熱血探偵と支部長さんは、たまりません。

なんとか木陰や建物の屋根がある場所を確保し、出入口を監視します。それでも、車両や観光客の往来で出入口が見えなくなることもあり、気を抜くことは出来ません。

張り込みを続けて、4時間が経過したころ、パトカーのサイレン音がこちらに近づいて来ました。そして、張り込みをしているラブホテルの北側のマンションに停車しました。

警官数名が近くにいた原付バイクの男女に職質をしているようです。一瞬、通報されたのかと焦りましたが、別件のようで助かりました。

しかし、暫くすると別のパトカーが現れ、先着のパトカーの後方に停車し、3人の警官が飛び降りて、支部長さんの方向へ向かうじゃないですか!

やばい!通報された!熱血探偵は即座に歩行者を装い、だいぶ距離を取った建物のエントランス付近から、ラブホテルの出入口が見える位置へ移動し、様子を窺います。

すると、警官達に囲まれた支部長さんがパトカーの方へ移動する姿が見えました。

どうやら、ラブホテルの利用者が通報したようで、機転をきかした支部長さんが対象者達に気付かれないように、出入口から見えない位置へ警官達を先導し、マンション前で事情を説明しているようです。

このタイミングで出てこられると、流石にキツイ!出て来るなよ…と願いつつ、監視を続けます。
警官達は支部長さんの説明を聞いて、30分後に開放してくれました。その間に対象者の出入りはなし。仕切り直しで張り込みの続行です。

さらに時間が経過し、辺りは暗くなり、雨も本降りとなりました。距離をとっているので視界も悪い。雨がやみ始めた午後7時過ぎころ、車内で張る調査員から「対象カップル出ました!!」との連絡が入り、急いで尾行につきました。

照明でカップルの姿がハッキリ見える位置について、違和感を感じた熱血探偵はすぐにそのカップルが別人であることに気付き、引き返します。(別人であることを証明するために撮影もしています)

服装が似たカップルのそっくりさんでした。車両の窓の水滴と、暗部での面取りが困難なため、対象者達と勘違いされたようです。

すぐに引き返し、出入口の張り込みを続行します。数分の監視の抜けがあるのが気がかりではありますが、尾行と引き返す間も周辺を見ており、対象者達の姿はなかったので大丈夫の筈です。

さらに、張り込みを続け、21時を過ぎました。対象者は今日、帰宅すると依頼者さんに伝えているので、必ず終電までには出て来るはずです。
しかし、終電に間に合うギリギリの時間の21時30分を過ぎても、出てきません。
もしかして、パトカーが来たときや、別人を追っていたときに対象者達は出たのか?

熱血探偵を含め、支部長さんや調査員も焦りから、連絡のやり取りも多くなります。
「見逃しているのかな?駅の改札を張り込みしたほうがいいのかな?」
そんなやり取りをしていると、カップルがラブホテルから歩き出て来ました。

反射的にカメラを構え、撮影を開始します。対象者であろうとなかろうと関係ありません。

誰であろうと、見極める前から撮影します。撮れていないと証拠として意味がない。長時間の張り込みも無駄になります。結果、対象者カップルでした!
ギリギリまでラブホテルで時間を過ごした対象者達が、やっと出て来たのです。

支部長さんも調査員も安堵の声で「いて良かった」と呟き、尾行に入ります。
ですが、時間ギリギリまでラブホテルで過ごていた対象者達に「図太い奴らめ!許さん!」と怒りも湧いてきて、自然と気合が入ります。

調査員はレンタカーを所定のコインパーキングに返却するので、後追いとなります。
熱血探偵と支部長さんで尾行の開始です。

今回はここまでとします。さて、次回はファイナルとなりますが、まだまだ波乱は続きます。